危機管理・リスク分析は必須!リスク分析の方法やフレームワークを知ろう

現代のビジネス環境では、予測不可能なリスクが企業の危機管理能力を試しています。「どのように潜在的なリスクを特定・分析すればいいのか」「効果的なフレームワークはあるのか」「どのような対策を行えばいいのか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そのようなお悩みをお持ちの方へ、リスク分析の基本を解説します。

漠然とした不安を抱えるのではなく、具体的な手法でリスクに立ち向かいたいとお考えでしたら、ぜひチェックしてみてください。

リスク分析の基本ステップ

リスク分析の基本ステップ

企業を運営していくうえで、様々なリスクはつきものです。潜在的なリスクを事前に特定し、分析していくことが重要です。

企業の運営においてなぜリスク分析が重要なのか

リスク分析は、企業が直面する脅威を可視化し、優先順位をつけるための羅針盤です。リスクを体系的に分析することで、限られた経営資源を最も効果的に配分し、重大な損失を回避できます。分析が不十分な場合、企業は予期せぬ事態に脆弱なままで、事業継続が困難になるだけでなく、ブランドイメージの失墜や法的責任の発生につながる可能性もあります。そのため、事前のリスク分析と適切な対応が必要なのです。

リスク分析の5つの基本ステップ

リスク分析は、基本的に以下のステップで進みます。

STEP1:リスクの特定

自社の事業活動に影響を及ぼす可能性のある、あらゆる潜在的脅威や機会を洗い出します。自然災害(地震・水害など)、情報セキュリティの脅威(サイバー攻撃・情報漏洩など)、法的・規制リスク、市場変動、風評被害、サプライチェーンの寸断など、広範な視点からリスクを特定することが重要です。この段階では、網羅性を重視し、あらゆる可能性を検討します。

STEP2:リスクの評価

特定した個々のリスクについて、その発生可能性(頻度)と、発生した場合に事業へ与える影響度(損害の大きさ・復旧に要する時間など)を具体的に評価します。定量的なデータが利用できる場合はそれらを活用し、難しい場合は専門家の知見や過去の事例を参照しながら、客観的な評価を行います。

STEP3:リスクの優先順位付け

評価結果にもとづき、対応すべき優先順位を決定します。発生可能性が高く、かつ影響度が大きいリスクから優先的に対策を講じるのが一般的です。

STEP4:リスクの対応策立案

優先順位付けされたリスクに対し、具体的な対策を立案します。対策には、リスクの回避・低減・移転・受容など、複数の選択肢があります。対策は具体的かつ実行可能な内容である必要があります。

STEP5:リスクの監視と見直し

リスク環境は常に変化するため、一度対策を講じたら終わりではありません。継続的にモニタリングし、新たなリスクの出現や既存リスクの変化に注意を払います。また、講じた対策の有効性を定期的に評価し、必要に応じて分析プロセス自体や対策内容を見直すことで、危機管理体制を常に最適な状態に保ちましょう。

リスク分析に役立つフレームワーク

リスク分析に役立つフレームワーク

リスク分析を効果的に進めるためには、体系化されたフレームワークの活用が非常に有効です。

フレームワークは、複雑なリスク分析プロセスを構造化し、標準化されたアプローチを提供します。これにより、リスクの見落としを防ぎ、分析の網羅性を高めることができるのです。

リスク分析において活用される主要なフレームワークとして「COSO-ERM」と「ISO31000」が挙げられます。

COSO-ERM(Enterprise Risk Management)

COSO-ERMとは、COSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会)が発表した、全社的リスク管理(ERM)に関するフレームワークです。2004年に初版が発表され、2017年に改訂版が発表されました。

COSO-ERMは、企業の戦略設定や業績向上とリスクマネジメントの統合を目的としており、5つの構成要素と20の原則から成り立っています。

内部統制を円滑に行うために必要なフレームワークといえます。

ISO31000

ISO31000は、国際標準化機構(ISO)が発表している、リスクマネジメントに関する国際規格です。2009年に第1版が発行され、2018年に改訂されました。この規格は、組織がリスクを適切に管理し、事業運営の信頼性を高めるための指針を提供しており、あらゆる種類のリスクに対応可能です。

ISO31000は認証規格ではなく、その考え方や手法を組織に合わせて柔軟に活用することを目的としたガイドラインです。

改定版では、リスクを「目的に対する不確実性の影響」と定義しており、この影響にはプラスとマイナスの両面があることを示しています。「原則」「枠組み」「プロセス」の3つに分類して、リスクマネジメントの指針を示しているのが特徴です。

組織全体で実行するリスク対策の基本

リスク分析によって特定・分析されたリスクに対し、適切な対策を講じることは、危機管理において最も重要なステップの一つです。リスク対策は、組織全体で行っていくことが重要です。

リスクは、事業活動のあらゆる側面に潜在しています。そのため、特定の部署だけが対策を講じても、他の部署で発生したリスクが連鎖的に全体へ影響を及ぼす可能性があります。組織全体でリスク対策に取り組むことで、部署間の連携が強化され、リスクに対する共通認識が生まれるのです。経営層から現場の従業員まで、全員がリスク対策の重要性を理解し、それぞれの役割を果たすことが求められます。

リスクに対する対策は、その性質に応じて様々なアプローチが存在します。主要な対応方法は、回避・低減・移転・受容の4つです。

リスクの回避

リスクの発生そのものを未然に防ぐための対策です。例えば、情報セキュリティリスクに対しては、強固なパスワードポリシーの導入、多要素認証の義務化、定期的なシステム監査などが挙げられます。自然災害リスクであれば、建物の耐震補強や防災設備の導入などが該当します。これらの対策は、リスクが顕在化する前に講じることで、将来的な損失を大幅に削減します。

リスクの低減

リスクが発生してしまった場合に、その影響を最小限に抑えるための対策です。事業継続計画(BCP)の策定は、まさにこの軽減対策の代表例です。代替拠点の確保、データのバックアップ、緊急時連絡網の整備、従業員の安否確認システムの導入などが含まれます。これにより、リスクが現実のものとなった際でも、事業のダウンタイムを短縮し、速やかな復旧を目指します。

リスクの移転

リスクの一部または全てを第三者に移転する対策です。最も一般的なのは、保険への加入です。火災保険、賠償責任保険、サイバー保険など様々な保険を活用することで、リスク発生時の経済的損失を補填できます。また、一部の業務をアウトソーシングすることも、その業務に関連するリスクを外部の専門企業に移転する形となります。

リスクの受容

リスクを認識しつつも、あえて特定の対策を講じない選択です。これは、リスクの発生可能性や影響度が極めて低く、対策を講じるコストがリスクによって生じる損失を上回る場合に選択されます。ただし、リスクを受容する場合は、その判断に至った根拠を明確にし、定期的に見直すことが重要です。

企業の危機管理・リスク分析の対応にお悩みなら

現代の複雑なビジネス環境において、企業の持続的な成長と事業継続を確実なものとするためには、効果的な危機管理が不可欠です。この記事では、その基盤となるリスク分析の基本ステップから、COSO-ERMやISO31000といった主要なフレームワークの活用、そして組織全体で実行するリスク対策の重要性について解説いたしました。

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