企業の防災マニュアル作成なら!基本ステップ・関連法令・運用のポイント
現代において、企業の防災マニュアルは従業員の安全を守るためだけでなく、事業継続の要にもなります。しかし「防災マニュアルの作成方法がわからない」「せっかく作ったマニュアルをどう運用すればいいのかわからない」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、企業の防災マニュアル作成の基本ステップから、関連する法令、そして日常的に運用するためのポイントまで詳しく解説します。この記事を読むことで、有事の際に確実に機能する防災マニュアルを作成・運用するための実践的なヒントを得られるでしょう。
企業の防災マニュアル作成の基本ステップ

企業の防災マニュアルは、予期せぬ災害が発生した際に従業員の命を守り、事業の継続を可能にするために欠かせません。
災害発生時には、混乱の中で適切な判断を下すことが困難になる場合がありますが、事前にマニュアルを作成し、周知しておくことで、従業員は冷静かつ迅速に行動できます。
実効性のある企業防災マニュアルを作成するためには、以下の基本ステップを順序立てて実行することが重要です。
災害発生時の役割・初動対応を明確にする
災害発生直後の混乱を最小限に抑えるため、誰が何を行うべきかを事前に明確にします。具体的には、災害対策本部の設置、情報収集・伝達、安否確認、初期消火、負傷者救護、避難誘導など、各役割の担当者と具体的な初動対応手順を定めます。緊急事態における指揮系統を明確にし、従業員一人ひとりが役割を理解できるよう、簡潔かつ具体的に記述することが重要です。
備蓄品をリスト化する
災害発生時に必要となる備蓄品を種類別にリストアップし、それぞれの保管場所、数量、管理責任者を明確にします。非常食、飲料水、医薬品、簡易トイレ、毛布、懐中電灯、携帯ラジオ、電池などの必需品に加え、事業継続に必要な特定の物品(業務用の応急処置キット、特定の工具など)も考慮に入れます。定期的な点検と消費期限の管理方法も定めてください。
避難方法・避難経路をまとめる
従業員の安全を確保するために、火災や地震、津波や洪水など災害の種類に応じた避難方法と避難経路を具体的に定めます。避難経路図を視覚的にわかりやすく表示し、避難場所までの経路や集合場所を明確に指示しましょう。
連絡網を整備する
災害発生時に従業員間の連絡を迅速かつ確実に行うため、連絡網を整備します。安否確認システムの導入、複数の連絡手段(社内電話、携帯電話、SNS、衛星電話など)の確保、緊急連絡先リストの作成・配布などが必要です。従業員だけでなく、緊急連絡先、取引先、行政機関など、社内外の主要な連絡先もリスト化し、連絡手順を明確にしましょう。
物品・情報資産の保護方法を決める
事業継続に不可欠な物品や情報資産を、災害から保護する方法を定めます。データの定期的なバックアップのほか、遠隔地での保管、重要書類の耐火・耐水保管、サーバーの耐震対策、非常電源の設置などが考えられます。これらが破損・消失した場合の復旧手順もあわせて計画することが重要です。
防災マニュアルは、一度作成したら終わりではありません。これらのステップを定期的に見直し、改善していくことで、常に実効性を保つことができます。
企業防災マニュアルに関連する法令とは?

企業には災害時も従業員の安全を確保する義務があり、防災マニュアルの作成もその一つです。
防災マニュアルの作成にともない、知っておきたい法令として「労働契約法」と「労働安全衛生法」の2つが挙げられます。
労働契約法
労働契約法は、労働者と使用者の間で締結される労働契約に関する基本的なルールを定めているものです。この法令には、使用者が労働者の安全に配慮する「安全配慮義務」が明記されています。
企業の防災マニュアルは、この安全配慮義務を果たすための具体的な対策の一つとして位置づけられます。災害発生時における従業員の避難誘導、安否確認、適切な情報の提供などは、この義務にもとづいて実施されるべき内容です。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的とした法令です。この法令にもとづき、企業は様々な対策を講じる義務があります。例えば、火災や地震などの災害に対する避難訓練の実施、消火設備や非常用設備の設置、危険物を取り扱う場合の適切な管理などが挙げられます。特に、事業場に防火管理者を定め、消防計画を作成・届出する義務は、この法令および関連する消防法にもとづくものです。
防災マニュアルは、これらの法令で義務付けられた内容を具体的に実行するための手順書として機能します。
企業の防災マニュアルを日常的に運用するためのポイント
企業の防災マニュアルは、作成するだけでは意味がありません。実際に災害が発生した際に、従業員がその内容を理解し、適切に行動できる「生きたマニュアル」として機能させるためには、日常的な運用が不可欠です。
防災マニュアルを日常的に運用し、実効性を高めるためには、以下のポイントを意識しましょう。
定期的な訓練の実施
マニュアルに記載された手順が実際に機能するかどうかを検証するために、定期的に訓練を実施しましょう。机上訓練、避難訓練、安否確認訓練、初動対応訓練など、様々な種類の訓練を組み合わせることで、実践的な対応能力を高めます。訓練後は、その結果を評価し、マニュアルや手順の改善につなげることが重要です。
従業員への教育と周知徹底
全ての従業員が防災マニュアルの内容を理解し、自身の役割を認識していることが不可欠です。入社時研修、定期的な集合研修(音声や動画も活用)、e-ラーニングなどを活用し、マニュアルの内容を継続的に周知・教育します。
マニュアルの更新と管理
マニュアルは、作成したら終わりではなく、環境の変化、組織体制の変更、関連法令の改正、訓練結果から得られた教訓などを反映し、定期的に更新します。更新履歴を明確にし、最新版が常に共有されている状態を維持することが重要です。電子データでの管理に加え、緊急時にアクセスしやすい場所に紙媒体で保管することもポイントです。
責任体制の明確化
防災に関する責任者(防火管理者など)を明確にし、各部署における役割や担当者を定めます。誰が、いつ、どのような運用業務を行うのかを明確にすることで、責任の所在がはっきりし、運用が円滑に進みます。
備蓄品・設備の管理
非常食、飲料水、医薬品、懐中電灯、簡易トイレなどの備蓄品や、消火器、AEDなどの防災設備の定期的な点検、補充、使用期限管理を徹底します。有事の際に、これらの備品が確実に使用できる状態にあることを確認します。
外部連携体制の構築
地域住民、地方自治体、警察、消防、協力会社など、外部機関との連携体制を構築します。緊急時の連絡先や協力体制を事前に確認し、必要に応じて合同訓練を実施することで、広域的な災害にも対応できる能力を高めます。
これらの運用ルールを組織全体で徹底することで、企業防災マニュアルは単なる文書ではなく、企業の生命線として機能し、有事の際に従業員を守り、事業を継続するための強力なツールとなります。
企業の防災マニュアル作成・運用に関するお悩みはBCリテラシーへ
この記事では、防災マニュアル作成における基本ステップから、関連する法令、そしてマニュアルを日常的に運用するポイントなどを解説しました。
防災マニュアルは、単に作成して終わりではありません。日常的に運用し、定期的な訓練と教育を通じて従業員に浸透させ、常に最新の状態に更新していくことが、企業の防災能力を向上させるために重要です。
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