BCP策定の注意点を知って必要な手順をスムーズに進めよう!

BCP策定を検討しているが「経営層向けにどのような視点が求められるのか」「策定段階でどのような注意点があるか」「一度作ったBCPをどう見直していけばいいのか」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、BCP策定における経営層の役割と基本視点、策定段階での具体的な注意点、そして見直しの適切なタイミングについて解説します。

BCP策定の手順において、経営層の深い理解と積極的な関与は重要な要素です。基本視点や注意点をおさえて、より実効性のあるBCP策定を目指しましょう。

経営層向け!押さえておくべきBCP策定の基本視点

経営層向け!押さえておくべきBCP策定の基本視点

BCP(事業継続計画)の策定は、単なる事務作業ではありません。企業の存続と成長を左右する重要な経営戦略のため、経営層の深い理解と積極的な関与なくして、実効性のあるBCPを構築することは不可能です。

現場任せのBCPでは、必要な権限や予算が不足したり、部門間の連携がうまくいかなかったりするリスクがあります。経営層が主体的に関与することで、BCPが企業全体の最優先事項として認識され、必要な手順がスムーズに進むのです。

BCP策定を成功に導くために、経営層が特に意識すべき視点は以下の通りです。

投資としてのBCP

BCP策定にかかる費用や労力は、一見するとコストに見えるかもしれません。しかし、経営層はこれを、将来起こりうるリスクによる甚大な損失(売上機会の損失、ブランド価値の毀損、顧客離れ、法的責任など)を回避するための「戦略的な投資」と捉えるべきです。この視点を持つことで、BCPへの適切な予算配分とリソース投入が可能になります。

推進体制の構築

自社の事業特性や組織体制に応じた実効性のあるBCPを策定するには、本社に全体を統括するBCP事務局を設置し、事業部門または事業所にもBCP推進メンバーをアサインすることが必要です。そして各メンバーの防災やBCPに関する知識やノウハウを共有するための仕組み(企業版ガイドラインや連絡会議など)が必要です。

全社的な視点

BCPは特定の部門だけの問題ではありません。サプライチェーン、情報システム、人事、総務、営業など、企業活動のあらゆる側面が連携して初めて機能します。経営層は、部門横断的な協力体制を構築し、各部門がそれぞれの役割を果たすよう促す必要があります。これにより、BCPの実効性が向上し、運用段階での注意点も減らせます。

従業員の安全確保

BCPの最も基本的な目的は、災害発生時に従業員の生命と安全を確保することです。経営層は、従業員の安否確認手順、避難経路、緊急時の連絡体制などを最優先で整備し、そのための投資を惜しまない姿勢を示すべきです。これは、企業の社会的責任としても非常に重要です。

企業の社会的責任

企業が災害によって事業を中断することは、顧客や取引先、地域社会にも大きな影響を与えます。特に中小企業は地域経済の重要な担い手である場合も少なくありません。経営層は、自社が果たすべき社会的責任を認識し、BCPを通じてその責任を全うする視点を持つことが求められます。

継続的改善の意識

BCPは一度策定したら終わりではなく、常に見直しと改善が必要です。経営層は「BCPは改善していくもの」という認識を持ち、定期的な訓練や見直しを通じて、計画を常に最新かつ実効性のある状態に保つことの重要性を理解する必要があります。

運用を見据えたBCP策定段階での注意点

運用を見据えたBCP策定段階での注意点

BCPは、策定すること自体が目的ではありません。重要なのは、実際に災害や緊急事態が発生した際に、計画が機能し、事業を継続できることです。そのため、BCP策定段階から、その後の運用を強く意識して以下のポイントを意識しておきましょう。

供給責任を果たすための高い目標を設定し、BCMに取り組む

BCPの目的は、顧客に対する供給責任を果たすために必要な事前対策と発生時の対応を計画することです。そのために重要業務を選定し、目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)を定めます。これらを実行可能なレベルで設定し安易なBCPを策定してしまうと、計画を策定して取組が終わり、想定外の事象が起こると対応できない、ということになってします。高い目標を掲げ、残課題を洗い出し、毎年、時間とお金をかけて少しずつ継続的に改善していく、という事業継続マネジメント(BCM)が求められます。

役割分担の明確化と権限委譲を行う

緊急時には、迅速な意思決定と行動が求められます。そのため、BCPにおける各部門、各従業員の役割と責任を具体的に明確化し、必要に応じて権限委譲を行っておくことが重要です。誰が、いつ、どのような判断を下し、何を実行するのかを時系列アクションリストなどの文書に落とし込み、関係者全員が理解している状態にしてください。

複数の連絡手段を検討する

災害時やシステム障害時には、通常の通信手段が利用できなくなる可能性があります。社内外の連絡体制は、電話、メール、SNS、安否確認システム、衛星電話など、複数の手段を組み合わせた多重化を図りましょう。特に、従業員の安否確認手順は、緊急時の初動対応として極めて重要です。

情報資産を保護する

事業継続に不可欠な情報資産(顧客データ、会計データ、設計図面など)は、災害や障害から確実に保護する必要があります。定期的なデータのバックアップに加え、遠隔地への保管、クラウドサービスの活用、セキュリティ対策の強化など、具体的な保護手順をBCPに明記してください。また、システム復旧手順も詳細に定めておきましょう。

従業員の理解度と習熟度を上げる

BCPは、策定段階から運用を意識し、従業員への周知と教育を始めることが重要です。専門用語を避け、わかりやすい表現でマニュアルを作成し、従業員がBCPの内容を自分事として捉えられるように働きかけてください。定期的な説明会や訓練の計画も、この段階から織り込んでおくべきです。

サプライチェーンのリスク考慮

自社だけでなく、サプライヤーや顧客など、サプライチェーン全体のリスクも考慮に入れる必要があります。主要な取引先のBCPの有無や災害時の対応能力を確認し、代替調達先や代替販売経路の検討もBCPに含めましょう。

BCP見直しの適切なタイミング

BCPは一度策定したら終わりではなく、常に変化する事業環境やリスクに対応するために、定期的な見直しと改善が不可欠です。BCPの見直しは特定のイベント発生時だけでなく、定期的なサイクルで実施しましょう。

主な見直しタイミングとしては、以下が挙げられます。

大規模な組織変更時

M&A、事業再編、主要拠点の移転、大幅な人員増減など、企業の組織体制や事業内容に大きな変更があった場合は、速やかにBCPを見直して、新しい体制や環境に合わせる必要があります。

重大なリスク環境の変化時

新たな法令の施行や改正、新たな災害想定(例:地震発生確率の更新、浸水想定区域の変更など)、新型感染症の発生、主要な取引先のBCP変更など、企業を取り巻くリスク環境に重大な変化があった場合は、迅速な見直しが必要です。

訓練結果や実際の災害経験後

BCPにもとづく訓練を実施した後や、実際に災害や緊急事態を経験した後は、必ずその結果を詳細に分析し、BCPの有効性や課題を評価します。訓練や実経験で明らかになった改善点をBCPに反映させ、より実践的な内容に修正しましょう。

主要システムや設備の更新時

事業継続に不可欠な情報システムや主要な設備が更新された場合も、BCPの見直しが求められます。復旧手順や必要なリソースが変更される可能性があるため、これらをBCPに反映させる必要があります。

また、BCPは年に一度は必ず全面的な見直しを行いましょう。これは、事業環境やリスクの変化を継続的に把握し、BCPの内容が常に最新かつ適切であるかを検証するためです。このサイクルを定着させることで見直しがルーティン化し、形骸化を防げます。

BCP策定・見直しでお悩みでしたらBCリテラシーへ

この記事では、経営層向けの基本視点、策定段階での注意点、そして見直しの適切なタイミングについて詳しく解説しました。

BCP策定は単なる文書作成ではなく、将来のリスクに対する「投資」と捉えるべきです。策定段階から運用を見据え、有事の際に機能する「生きたBCP」にすることが重要です。

BCP策定についてお悩みでしたら、ぜひBCリテラシーへご相談ください。

BCリテラシーでは、お客様の業種、規模、成熟度、組織文化を深く理解したうえで、完全オーダーメイドのアプローチを提供いたします。BCP策定に当たっては、事業部門を巻き込んで意見を反映させることが重要ですが、重要業務の選定やビジネス影響度分析のための「部門長ヒアリング」も得意としております。

さらに経営層向けのコンサルティングサービスはもちろん、従業員向けのセミナーも対応可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

BCP策定の手順のご相談ならBCリテラシー

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