企業のリスクマネジメントは経営層が重要!体制構築のポイント、役割や判断基準を解説
企業のリスクマネジメントにおいて「経営視点でどのような体制構築が必要か」「各部門の役割はどう分担すべきか」「リスク評価の判断基準が曖昧で、的確な経営判断が難しい」といった悩みを抱えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、経営視点でのリスクマネジメント体制構築のポイント、経営・現場・監査部門それぞれの役割、そして経営判断に資するリスク評価の判断基準について、専門的な視点から解説します。
経営視点で意識したいリスクマネジメントの体制構築のポイント

複雑なリスクが顕在化する現代において、全社的なリスクマネジメントの重要性はますます高まっており、経営視点でリスクマネジメントを捉えることが重要です。
経営層がリスクマネジメントを主導することで、企業の目標達成を阻害する可能性のあるリスクを早期に特定し、戦略的な対策を講じることが可能になります。これにより、偶発的な災害や危機に強い企業体質を築き、持続的な成長を支える基盤を確立できます。
経営者が意識したいリスクマネジメント体制構築のポイントとして、以下が挙げられます。
経営層が先頭に立って指揮をとる
リスクマネジメントは経営戦略と一体であるべきです。経営層がその重要性を深く理解し、自らが先頭に立って推進することで、全社的な意識が高まります。単なる指示に留まらず、具体的な方針決定、必要なリソースの配分、そして進捗の監督まで、経営層が積極的に関与することが、リスクマネジメント体制を実効性のあるものにするために不可欠です。
専任のチームを設置する
リスクマネジメントを継続的かつ専門的に推進するためには、専任のチームや担当者を設置することが有効です。このチームが、リスクの識別、評価、対策の立案・実行、モニタリング、見直しといった一連のプロセスを統括します。各部門との連携を密にし、リスク情報を一元的に管理することで、迅速な経営判断と対応を可能にする体制構築が進みます。
リスクアセスメントを実施する
事業活動を取り巻くリスクはますます多様化し、激しく変化しています。企業の事業特性に応じたリスクを洗い出し、発生確率と影響度により対策の優先度の高い「重大リスク」を抽出する、という一連の「リスクアセスメント」が必要です。経営層へのアンケートやヒアリングを実施し、具体化していきます。
BCPなど危機管理マニュアルを作成する
具体的なリスクマネジメントの行動指針として、BCP(事業継続計画)をはじめとする危機管理マニュアルの作成は不可欠です。想定される災害や危機シナリオに対し、誰が、いつ、何をすべきか、具体的な手順を明記します。マニュアルは、緊急時の混乱を最小限に抑え、組織的な対応を可能にするための判断基準となります。
定期的な見直し・教育を行う
リスク環境は常に変化するため、一度構築したリスクマネジメント体制やマニュアルも、継続的に見直して改善していく必要があります。定期的なリスク評価の実施、対策の有効性検証、そして災害や危機対応訓練の結果から得られる教訓を体制や規程に反映させる手順を確立します。また、従業員向けの定期的な教育を行うことで、リスクに対する共通認識を深め、リスク文化を醸成します。
企業のリスクマネジメントにおける経営・現場・監査それぞれの役割

企業のリスクマネジメントを実効性のあるものにするためには、経営層だけでなく、現場の各部門、そして監査部門がそれぞれの役割を明確に理解し、連携して取り組む必要があります。
リスクマネジメントは、特定の災害や危機が発生したときにだけ機能するものではありません。日々の業務の中にリスクを特定し、評価し、予防し、対応する手順を組み込むことで、企業全体のリスク対応能力が向上します。
ここでは、経営層、現場、そして監査部門の役割について解説します。
経営層の役割
経営層は、リスクマネジメントの最高責任者として、その方針を決定し、企業全体に浸透させる役割を担っています。具体的には、リスクアペタイト(企業が許容できるリスクの水準)の設定、リスクマネジメント体制の構築と運営に必要な予算やリソースの配分、そして最終的な経営判断を下します。また、リスクに対する企業文化を醸成し、全従業員にリスクマネジメントの重要性を繰り返し発信することも経営層の重要な役割です。BCPなどの危機管理マニュアルの承認も経営層が行うべき業務です。
現場(各部門)の役割
現場の各部門は、日々の業務の中でリスクを最も早期に識別できる立場にあります。そのため、自身の業務に潜むリスクを継続的に特定し、評価する役割を担います。また、経営層が定めた方針や規程にもとづき、具体的な対策を実行し、その進捗や効果を定期的に報告する役割です。災害や緊急事態発生時には、BCPや危機管理マニュアルに沿って初動対応を行い、速やかに状況を上位に報告する役割も持ちます。
監査部門の役割
監査部門は、リスクマネジメント体制が適切に機能しているか、規程やマニュアルが遵守されているかについて、独立した客観的な視点から評価する役割を担います。リスクマネジメントプロセスの有効性を検証し、不備や改善点を発見した場合は、経営層に対して提言します。これにより、リスクマネジメント体制の透明性と信頼性が確保され、継続的な改善が促されるのです。
リスク評価の判断基準とは?
企業のリスクマネジメントでは、単にリスクを把握するだけでなく、それが事業にどのような影響を与え、どのような対策が必要なのか、判断基準にもとづいて見極める必要があります。そうすることで限られたリソースを最も効果的に配分し、企業の持続的な成長へとつなげることができます。
判断基準に悩んだら、以下のポイントを意識してみてください。
リスクの発生可能性と影響度
リスク評価の基本的な軸は、リスクが「どのくらいの頻度で発生するか」と「発生した場合にどれくらいの損害を与えるか」です。これらを定性的(例:高・中・低)または定量的(例:年間発生回数、損失金額)に評価します。両者をマトリックスで組み合わせることで、リスクの相対的な大きさを視覚的に把握し、優先順位を付ける際の判断基準になります。
重要度・優先順位付け
発生可能性と影響度を評価したうえで、事業継続への影響度、損失の大きさ、緊急性といった要素を加えてリスクの重要度や優先順位を決定します。特に、企業の存続に関わるような致命的なリスクは、発生可能性が低くても最優先で対策を講じる必要があります。これは、BCPの策定手順においても重要な判断基準となります。
企業のリスクマネジメントに関するお悩みはBCリテラシーへ
企業の持続可能な成長を実現するためには、リスクマネジメントを単なる危機管理体制としてではなく、経営戦略の根幹として位置づけることが重要です。この記事では、強固なリスクマネジメント体制を構築し、的確な経営判断を下すために必要な視点について解説しました。
リスクマネジメントに関してお悩みでしたら、BCリテラシーへご相談ください。
リスクマネジメントに関するコンサルティングは、以下のステップで行います。
- リスクマネジメント規程の制定
- リスクマネジメント体制の構築
- リスクアセスメントの実施(アンケート調査票の設計含む)
- リスクマップの作成(発生確率×影響度)
- 重大リスクの選定(優先的に対応を検討するリスクの選定)
- リスクマネジメント委員会の開催(重点リスク対応の進捗管理など)
その他、BCリテラシーでは、以下コンサルティングサービスを提供しています。
- BCP/BCM/訓練支援アドバイザリー契約(準委任)
- 災害対応マニュアル/BCP策定/BCM運用コンサルティング
- リスクマネジメント/海外危機管理策定・運用コンサルティング
- 地震対応ワークショップ
- 各種セミナー
製造業・サービス業・商社・医療機関・官公庁など、幅広い業界での豊富な実績と専門知識を活かし、お客様の状況に合わせた支援を行います。
企業のリスクマネジメント強化やリスク評価についてお悩みでしたら、ぜひBCリテラシーにお問い合わせください。
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